【セレクトラ・ジャパン株式会社】
カントリーマネージャー
ファニー・ベルトさんインタビュー

ファニー・ベルトさんの学生時代や前職でのご経験・ご経歴を教えてください。

フランスで2人の兄弟とともに、ワインで有名なボルドー近郊のフランス南西部の小さな町で生まれ育ちました。幼い頃からスポーツが大好きで、バスケットボールの強豪校に進学し、4年間バスケットボールチームに所属して活動しました。怪我のためバスケットボールのキャリアを断念し、英語を学ぶために1年間アイルランドのダブリンに留学しました。
その後、パリ政治学院に入学しスペイン語を学ぶためにスペインに移住しました。当時、大学の提携校であった慶應義塾大学経済学部との留学プログラムに参加し、19歳の時に初めて来日しました。日本ではフランス語と英語を教えるアルバイトをしながら充実した学生時代を過ごし、白井先生の国際金融ゼミに所属していました。また、アクサ損保でインターンシップを経験しました。ゼミの勉強とインターンシップはとても充実していましたが、自分がさらに活躍できる環境を求めていました。

現在のお仕事を志したキッカケを教えてください。

大学卒業後、主にスタートアップ企業で勤務しました。起業家精神にあふれたプロジェクトや事業開発への挑戦は刺激的でした。一方で、従来の日本の労働環境は、女性としてキャリアを追求するには自分にとって最適ではないと感じていました。
このまま日本で就職したら自分のキャリアステップが限られてしまうのではないかと悩む中、日本支社の開設に向けた人材募集をしているとセレクトラ社から連絡がありました。
馴染みあるヨーロッパの社風や働き方で、日本で勤務できる環境はまさに理想そのものでした。実際に勤務を始めると、日本独特のビジネスマナーや文化に慣れることに苦戦しました。しかしながら日本人チームメンバーのサポートも受けながら、徐々に環境や文化に適応しました。その結果、自分自身の努力と会社の発展が相乗効果を生み、キャリアアップと売上好成長を実現しました。
日本支社に貢献したことで、2021年から日本支社のカントリーマネージャーに抜擢されました。比較サイト運営、コールセンター運営、パートナー企業の取引等の経営管理を行う中、2022年からオーストラリア支社のプロジェクトにも加わり、新規事業開発として従事しています。働く場所が制限されずグローバルに活躍できるため、自分にとって成長できる環境と実感しています。

創業・設立された経緯を教えてください。

セレクトラの創業者は、フランス人学生だったグザビエとオーリアンです。彼らはフランスの大学（パリ政治学院）の日本語クラスで知り合いました。当時オーリアンの家を訪問したグザビエが「一緒にビジネスをやりたい」と発言したことがきっかけでした。
2007年にフランスのエネルギー市場の自由化という変革期を迎え、新しい電気料金の比較サイトを立ち上げることを彼らは決意しました。こうして、セレクトラ社が設立されました。
2016年日本の電力自由化が開始され、これはセレクトラにとって大きなチャンスとなり、フランスで培ってきた経験とノウハウを活かし、日本の消費者にも最適な電力料金プラン選びをサポートしたいという熱い想いが、セレクトラ・ジャパン株式会社の設立につながりました。

ファニー・ベルトさんが人生を歩む上で特に大切にしていることを教えてください。

私が人生で最も大切にしていることは、「仕事」、「人間関係」、「趣味」の3つの要素のバランスを保つことです。この3つの要素のバランスを保つことで、人生の幸福感を感じられると考えています。

しかしながら、日本で生活をはじめてから、フランスで暮らす家族や友人と離れ寂しくなりながらも、慣れない環境に身を置くことで、それまで築き上げてきたバランスが崩れてしまいました。その経験から私は、バランスを保つことの大切さを学びました。

現在では日本の生活にも慣れていき、大好きな職場で働く充実感を感じながら、趣味や家族との時間も大切にする生活を送っています。

今後の目標やビジョンを教えてください。

セレクトラ・ジャパンでは「分かる・選ぶ・満足」をモットーにお客様に一番賢い選択を提供しています。
同じ商品やサービスの膨大な情報が溢れ、消費者は膨大で多様な選択肢と情報に直面しています。日々の生活に欠かせない電気やガスの契約プランの選択、携帯キャリアの選択、ネット回線の選択など、消費者が選択できる幅が広がりました。それによって消費者は料金、サービス内容、カスタマーサポートなど考慮すべき基準が増えたことで、消費者を混乱させる結果になりました。
この背景を踏まえて、セレクトラでは「頑張らなくても一番賢い選択ができる場を提供する」というミッションを掲げています。
難しく考えることや調べる必要はなく、すぐに欲しい答えが見つかる、そんなサービスづくりを目指しています。消費者個々のライフスタイルや好みに合わせて一番納得できる・満足できる選択が一番賢い選択だと考えています。お客様の声を励みに、セレクトラは今後もお客様に寄り添い、日常生活や日々の家計に大きな影響を与える商品やサービスの最適な選択をサポートし続けます。

フランス人経営者・女性経営者として、日本の同業種の現況や改善点など教えてください。

セレクトラのパートナー企業は歴史のある大手企業が多く、スタートアップ企業である弊社とのビジネス文化の違いを感じることがあります。

ひとつ感じたのは、日本のエネルギー業界において女性と話す機会が少ないということです。私が日本支社で働き始めた頃、パートナー企業の担当者の多くが男性で、初対面の際に私が女性であることに驚かれることがよくありました。私の名前が彼らにとって聞き馴染みがない名前であるので、名前から性別がわからず、男性だろうと思い込んでいたのでしょう。最近、多くの女性がキャリアを積むことが珍しくなくなりましたが、エネルギー業界における女性の活躍はまだ発展途中にあると感じています。

次に、エネルギー・通信業界における契約手続きの複雑さがあります。自社のコールセンターでパートナー企業の契約手続きを代行していますが、フランスよりも契約締結にかかる時間が長いと感じています。
フランスではコールセンターにおける契約手続きがより簡単で、迅速に契約締結することができます。一方で、日本ではプロセスやルールへの配慮が重視されるため、申し込みにおけるミスを未然に防げますが、必ずしも効率的とは言えず、契約手続きを行うコールセンターの負担も大きくなりがちです。

これらの課題は業界全体で取り組むことで解決できると考えています。コンプライアンスを守る姿勢はそのままに、効率性を重視する環境を整備することで、顧客満足度向上と業界全体の成長を同時に実現できると期待しています。

今まで苦労された経験、そこから学ばれたことを教えてください。

日本支社で働く中で最も苦労したことは、日本人メンバーとのコミュニケーションでした。
フランスでは上司に対する不満などのフィードバックを素直に意見を伝えることが一般的です。メンバーからのフィードバックは会社の改善につながる貴重な意見として考えています。しかし実際は、ネガティブな意見が少なく、ポジティブな意見ばかり伝えられる傾向があり、最初はとても戸惑いを感じました。
弊社では、ミスコミュニケーションをなくすためにも、様々な取り組みを行っています。
フランスでは一般的ですが、弊社の人事面談やメンバーとの相談は、カフェなどのオープンスペースで実施することがあります。相手が話せるような空間で素直に意見やフィードバックを伝えることを目的としています。他にも「セレクトラ 朝食会」、「セレクトラ ランチ会」という日本チームメンバー全員と一緒に食事会を毎月開催し、マネージャーや他のチームと積極的にチーム内の状況を共有しています。
この経験を生かして、日本とフランスの文化や違いを尊重することの大切さを改めて実感し、円滑にコミュニケーションを築くことで、チームワークの更なる向上を目指しています。